歩くリラ冷えの風


翔真はチャッキーの姿を覗き込むと、「お前は、本当可愛いよなぁ。」と微笑んだ。

「当たり前でしょ?わたしの相棒なんだから。」

椿沙はそう言うと、ブレザーのポケットから大きめのヒマワリの種を数個取り出し、チャッキーの目の前に差し出した。

チャッキーはそれを手に取ると、両手で掴み上手く殻を割り、中身の種だけを食べる。

「チャッキーって、先生たちにバレたことないの?」

椿沙に翔真がそう訊くと、椿沙は「多分バレてるよ。」と答えた。

「え!何も言われたことないの?!」
「うん、言われたことない。」
「まぁ、、、椿沙だから見逃してるんだろうな。先生たちからの信頼厚いから。」
「そうなのかな。」
「だって、みんなが恐れてるあの鬼島と普通に話せるのなんて、椿沙くらいだぞ?」

翔真がそう言うと、椿沙はチャッキーがこぼしたヒマワリの種の殻を拾い集めながら「桑島は別に恐い先生じゃないよ。」と言った。

「そう思ってるのは椿沙だけだ。」
「別に悪いことしなければ怒られることないじゃない。みんなやましい事があるから桑島のことが恐いって思うだけでしょ?」

そう言いながら、椿沙は拾った殻をティッシュに包み、ポケットの中に仕舞い込んだ。

そして「さぁ、チャッキー。お昼寝の時間だよ。」と言うと、椿沙の肩に乗っていたチャッキーが第2ボタンまで開いてる椿沙のブラウスの中に入り込んで行った。

一瞬だが、椿沙の胸元が見え、ドキッとしてしまう翔真。

そんな翔真に椿沙は「見た?」と表情一つ変えずに訊く。

翔真は空を見上げて「見てない。」とぎこちなく答えたが、椿沙にはお見透しだった。

「まぁ、見られたところでも減るもんでもないからね。」

椿沙はそう言うと立ち上がり、歩き出した。