歩くリラ冷えの風


昼休み時間になり、翔真は3組の教室を覗きに行った。

しかし、教室内を見回しても椿沙の姿は見当たらない。

翔真は、予想はついていた。
きっと椿沙は、あそこに居る。

そう思いながら、翔真は階段を駆け上がり、普段は立ち入り禁止になっている屋上の重たい扉を開けた。

すると、そこには低い塀に腰を掛け、金網に背をつける椿沙の姿があった。

「やっぱりここに居た。」

翔真がそう言うと、顔を上げる椿沙。

椿沙の膝の上には、リス、、、いや、姿は似ているが違う。
アメリカモモンガのチャッキーが椿沙からヒマワリの種を貰い、殻を割ってお食事中のところだった。

チャッキーは、椿沙の相棒で毎日連れ歩いているのだ。

「翔。どうしたの?」
「いや、さっきのお礼を言おうと思って。」

翔真はそう言いながら椿沙に歩み寄り、椿沙の隣に腰を下ろした。

チャッキーは突然の翔真の登場に驚き、慌てて椿沙の腕から肩に上り、長い黒髪の中に身を隠した。

「お礼?」
「ほら、門倉のこと。ありがとう。」
「わたしは何もしてない。悪い事をした時の謝り方を教えてあげただけ。わたし、人を傷付けて平気な顔をしてる奴、許せないから。」

椿沙はそう言うと、「チャッキー。翔だから、大丈夫だよ。」と髪の毛の中に隠れているチャッキーに話し掛けた。

すると、ヒマワリの種を両手で持ったチャッキーが椿沙の首の横から顔を覗かせた。