歩くリラ冷えの風


「翔、大丈夫?」

殴ら尻もちをつく翔真に駆け寄る椿沙。

翔真は殴られた頬を押さえながら、「大丈夫だよ。俺、かっこわりぃな。」と笑って見せた。

「ううん、かっこ悪くなんてない。巻き込んでごめん。」

そう言った椿沙は、翔真の頬を冷やす為に自宅に連れて行き、冷たいタオルを翔真の頬に当てた。

「ちょっと腫れちゃったね。」
「これくらい平気だよ。」
「翔、、、ありがとね。一緒に戦おうとしてくれて。」

椿沙がそう言うと、翔真は照れながら「あんなカッコ悪い姿、椿沙に見られたくなかったなぁ。」と照れ笑いを浮かべた。

その時、奥の部屋からガタンと大きな音が聞こえた。

そして酷く咳き込む光哲さんの声が聞こえてきたのだ。

「じーちゃん?!」

椿沙は慌てて、光哲の部屋へと向かった。

光哲の部屋の障子を開けると、そこには布団の上に倒れ込み、吐血をする光哲の姿があったのだ。

椿沙は、慌てて救急車を呼び、光哲を病院へと運んでもらった。

実は、光哲は数ヵ月前に肺癌が見つかっており、椿沙に心配かけまいと秘密にしていて、治療も受けていなかった。