歩くリラ冷えの風


「翔真。」

目一杯に涙を溜めながら、里佳が呼ぶ。

「頑張れよ。」

涙が溢れるのを必死に堪えながら、里佳はそう言うと、右手の拳をトンッと翔の肩にぶつけ、微笑んだ。

「あんた、女見る目あるね。」
「だろ?」
「でも、蘭越さんは手強いよ〜?」
「分かってる。」

お互いに気持ちの晴れない別れ方をしていた翔真と里佳だったが、これを機に気持ち悪さの無いスッキリとした関係に解消された。

すると、鐘が鳴り、昼休みの終わりを告げる。

翔真は、椿沙のところに行けなかったなぁ、と思いながら、里佳と共に教室に向かって歩いていた。

その時、階段を3段飛びで下りてくる椿沙と鉢合わせる。

翔真と里佳が一緒に居ることに不思議そうな表情を浮かべる椿沙に、翔真は慌てて「あ、椿沙!違うんだ!えっとぉ、」となぜか言い訳をしようとしていた。

そんな翔真を見て、里佳は椿沙に向かって「翔真のこと、よろしく。」と言い、先に教室へと向かって行ったのだった。

相変わらず不思議そうな表情をする椿沙は「よろしく?」と首を傾げる。

「あんたら、何かあったの?」
「え?いや、何でもないよ!」

翔真がそう言うと、階段を降りきった椿沙が「ふーん。」と言ったあと、「翔、今日ラーメンね。」と言い、教室へと向かい歩いて行った。

翔真は「はい、喜んで!」と返事をすると、自分の教室へと入って行った。