「これ、、、さっき言った、お父さんとお母さんがわたしを守ってくれた証。」
後ろ向きのまま椿沙はそう言った。
思っていたよりも大きな傷跡と痣に言葉を失う翔真。
椿沙は「この傷と痣、わたしの宝物なの。だから、翔真に見せたかった。」と言うと、タンスからシンプルなグレーのパーカーを取り出し、それを被り着替えると、スカートを下ろし、細身のデニムに履き替えた。
スカートを下げる際、翔真は慌てて目を逸らしたが、一瞬椿沙のパンツの色が見え、心の中で「ピンクだった」と呟いてしまった。
すると、廊下から足音が聞こえてきた。
椿沙の部屋の開く障子から姿を現したのは、椿沙の祖父の光哲だった。
「おぉ、椿沙が誰か連れて来たと思ったら、翔真だったか。」
白い薄手のハイネックシャツにモモヒキを履き、お腹には腹巻をしている光哲。
翔真が「お久しぶりです。」と言う中、椿沙は「じーちゃん、そんな格好で出てこないでよ。」とみっともないとでも言うような言い方をした。
「この格好が一番ラクなんだよ。それより、翔真。お前、何だか顔つきが男らしくなったな。チェリーボーイ卒業したか。」
「じーちゃん、チェリーボーイとか古いよ。」
「もしアレなら、俺が女の抱き方教えてやるぞ。」
次第にノリノリな感じで言い出す光哲に「あー、もう。じーちゃんのそんな話聞きたくない。ゲロ吐きそうになる。」と言いながら、椿沙は光哲の背中を押し、部屋から遠ざけようとした。
「翔真、いつでも教えてやるから、また来いよ〜。」
そう言い、笑いながら椿沙の部屋から離れて行く光哲。
椿沙は溜め息を付きながら「やめてほしいわ。」と言っていたが、翔真には椿沙と光哲のやり取りが微笑ましく見えたのだった。



