歩くリラ冷えの風


そんな話をしながら椿沙の自宅前まで辿り着くと、椿沙が「送ってくれてありがとう。ねぇ、ちょっとだけ家に上がらない?」と言った。

翔真は断る理由もなく、「お、おう。」と返事をし、そのまま椿沙の自宅へと入って行った。

「うわぁ〜、木の良い匂い。」

玄関に入った瞬間に香る、木と畳の匂い。

自分の家とは違う雰囲気と匂いに、翔真は癒されるような気分だった。

すると、椿沙のスクールバッグからチャッキーが飛び出し、一番最初に家の中へと入って行く。

椿沙はびしょ濡れになったローファーを脱ぐと、靴下も脱いで裸足になり、翔真に「どうぞ、上がって?」と言った。

「お邪魔します。椿沙の家入るの、久しぶりだなぁ、、、。」
「そうだね。いつぶりだっけ?」
「高2の夏休み以来かも。」
「そんなに来てなかった?!」
「多分。」

そう会話をしながら、椿沙の部屋へと向かう。

椿沙の部屋は10畳程ある和室で、女子の部屋とは言い難いシンプルな部屋だ。

「はぁ、びしょ濡れ。制服乾かさなきゃ。」

そう言いながら、ブレザーを脱ぎハンガーにかける椿沙。

それから淡いライラック色のカーディガンも脱ぎ、首元のリボンを外してから、翔真が居るというのに、そのままブラウスも脱ぎ始める。

「ちょ、ちょっと椿沙!お前、、、!」

翔真は後ろ向きになってブラウスを脱ぐ椿沙の背中を見て、息が詰まりそうになった。

椿沙の背中には、大きな傷跡と広範囲に広がる痣があったのだ。