歩くリラ冷えの風


「え、あ、うん、、、まぁ、そんな感じ。」

椿沙のあまりのアッサリした態度に拍子抜けする翔真。

椿沙は、「わたし、親の顔覚えてないんだぁ。赤ちゃんの時に死んじゃったから。写真でしか見たことないの。」と言った。

翔真は無駄に言葉を発さず、椿沙の言葉に耳を傾けていた。

「うちの家系ね、蘭越組ってゆう有名な、、、簡単に言うと暴力団ってゆうの?ヤクザ?だったらしいの。で、組の頭はじーちゃん。ずっと続けてきた組だったから、じーちゃんは息子に継いで欲しかったらしいのね。あ、息子ってゆうのは、わたしのお父さん。でも、お父さんは結婚して、わたしが生まれて、、、お母さんとわたしを守る為に、じーちゃんとは縁を切って、蘭越組とは無関係になることを選んだの。でも、じーちゃんはそれを許さなかった。そこでかなり揉めたみたい。そりゃそうだよね、ずっと続けてきた由緒ある蘭越組を途切れさせるわけにはいかないって、じーちゃんは思っただろうから。」

椿沙はそう言ったあと、足元をに視線を落とし、それからスクールバッグのチャックを少しだけ開けた。

その隙間からはチャッキーが顔を覗かせ、そんなチャッキーを見て、椿沙は「でもさ、大切な人を守りたいって思う気持ちは、あって当然だよね。」と呟くように言った。

「お父さんは縁を切る選択を譲らなくて、じーちゃんは息子の気持ちを優先してやるべきなのか、ずーっと悩んでたんだって。そんな時、じーちゃんが留守の間に家が当時ライバル組だった内山組に襲われて、」

椿沙の言葉に、翔真はつい「えっ、、、!」と声を漏らした。

そんな翔真に椿沙は「じーちゃんの留守を狙ったんだろうね。」と落ち着いた口調で言った。