歩くリラ冷えの風


「翔。」
「椿沙、びしょ濡れじゃねーか。傘持って来なかったのかよ。」
「だって、朝は晴れてたから。」
「天気予報では、午後から雨になってたらしいぞ。」
「天気予報なんて見ないもん。」

そう話しながら、ビニール傘に二人で入り歩く。

「スクールバッグ、チャッキー入ってるのか?」

椿沙が大事そうに抱えてるスクールバッグを見て、翔真は訊いた。

椿沙は翔真の言葉に頷くと、「わたしなんかより、チャッキーの方が大事だから。」と言った。

しばらくの間、雨音の中、無言で歩く二人。

そんな中、翔真は迷っていた。

訊くなら、このタイミングだよな。
今しかないよな。

そして翔真は意を決し、椿沙に「あのさぁ、」と話し掛けた。

椿沙は「ん?」と翔真の方を向く。

翔真は真剣な表情で生唾を飲み込むと、「ちょっと訊きたいことがあるんだけどさぁ。」と言い、慎重に椿沙に話を訊こうとした。

「訊きたいこと?何?そんな真剣な顔しちゃって。」
「話したくなかったら、無理に話す必要はないんだけど、、、椿沙の過去の話を、、、訊きたくて、、、」

翔真がそう言うと、椿沙は表情一つ変えずに「過去?あぁ、わたしに何で親が居ないのかとか?」と自分から言い出した。