「椿沙ちゃん、小さい頃から付き合いあるの翔真くらいだものね。だから、光哲さんも椿沙ちゃんの友達だからって、気を使ってくださってるんだろうけど。」
翔真の母は、少し迷惑そうな言い方をし、翔真はその言い方が気に障り、「何だよ、その迷惑そうな言い方。」と言った。
「んー、迷惑ってゆうか、ほら、やっぱりあとから恩着せがましくされるの嫌じゃない?」
「椿沙も光哲さんもそんな人じゃないよ!」
「人なんて分からないものよ。良い人に見えても、ちょっとしたことで豹変することだってあるんだから。人間て怖いのよ?」
翔真は母の言葉に苛立ちを隠せなかった。
椿沙と光哲さんのことを何も知らないくせに。
勝手に人柄をマイナスな方に予測して、母さんの方が余程、怖いよ。
翔真はそう思った。
「まぁ、光哲さんと椿沙ちゃん、二人きりの家族だから、光哲さんは孫が可愛くて仕方ないんでしょうね。でも、翔真。あまり椿沙ちゃんとは、深い付き合いをしちゃダメよ?」
「何だよ、深い付き合いって。」
「ほら、付き合うとか?」
「何で母さんにそんなこと言われなきゃいけないんだよ。」
翔真はそう言いながら、ソファーに寝転がって、学ランのポケットからスマホを取り出した。
「光哲さんって、優しそうに見えて、昔は悪だったって、、、良くない噂があるから。」
「噂ねぇ。」
「巻き込まれるのは嫌じゃない?だから、椿沙ちゃんだけはダメよ?」
翔真は、母親の言葉に返事をしなかった。
大体の人間は、自分の印象と保身ばかり気にする。
でも、椿沙は?光哲さんは?
翔真は母親の人柄に呆れ、母の言葉は聞き流すことにしたのだった。



