歩くリラ冷えの風


15分もすると、「はい、お待ち〜!」とラーメンがカウンター上に置かれた。

「ノブさん、ありがとう。いただきます。」
「いただきます。」

椿沙と翔真は手を合わせると、割り箸を割り、ノブさん自慢のラーメンを食べ始める。

ノブさんが作るラーメンは割りとこってりしたラーメンで、若者が好みそうなラーメンだった。

量も丁度良くて、こってりしているのにスープを飲み干せてしまいそうな程、後味がクドくない。

椿沙と翔真はラーメンを食べ終えると、手を合わせ揃って「ご馳走様でした。」と言い、椿沙はお腹を押さえながら「あー、お腹いっぱい。」と言った後で水を飲み干していた。

「今日もお代は要らんからな!光哲さんによろしくな!」

ノブさんがそう言うと、椿沙は「うん、いつもありがとう。」とお礼を言い、そのあとに続き翔真も「ありがとうございます。」と頭を下げた。

椿沙はノブさんに手を振り、翔真と共に店を出た。

「やっぱりノブさんのラーメンが一番だなぁ。」

椿沙はそう言いながら、スクールバッグを開け、その中からチャッキーが出てくると、チャッキーは寒さから暖を取るように椿沙の胸元に入り込み顔だけを覗かせていた。

「本当にいいのか?いつもタダでラーメン食べさせて貰っちゃって、、、。」

申し訳なさそうに翔真がそう言うと、椿沙は「大丈夫だよ。」と言い、空を見上げた。

「綺麗、、、青空が夕日に照らされてオレンジ色とグラーデーションになってる、この空好きだなぁ。」

そう言い、空を眺める椿沙の横顔につい見惚れる翔真。

すると、翔真の視線に気付いた椿沙がクルッと翔真の方に顔を向け、「何?」と言った。

「え、あ、いや、何でもない。」
「何よ、顔に何か付いてる?」

そう言いながら、椿沙は自分の顔を気にする。

その時、翔真の頭の中には、椿沙から言われた「伝えられる時に伝えないと」という言葉が思い浮かんでいたのだった。