幼なじみは、今日でおしまい。

「そっか…ありがとね。」


「寧々,なんか具合悪いのか?」

 
「え…?っと、どうして…?」


「なんか思い詰めてたから,なんでも話して,どうした?」


冬夜が優しい声で聞いてくれているけど、まさか冬夜がモテてて悲しくなりましたなんて言えない。


「いや、なんでもないよ、大丈夫!」


私は笑って誤魔化した。


「寧々、今無理してる。本当に話して、心配なんだよ。」


そこまで言われて話さなかったら冬夜は離してくれない気がした。


「…今日5時間目の前に廊下で女の子達に囲まれてる冬夜を見たから。」


「…え?それってもしかして…?」


冬夜が驚いたようにこっちを向く。私は慌てて、


「な、なんか冬夜が離れて行っちゃちゃいそうだなーって、思っただけだよ!あはは。」


と言って、誤魔化した。


「マジでそれ、反則…」


「え?」


「なんでもない。寧々はそれで寂しくなっちゃったんだ?」


ちょっとイタズラそうな笑みで聞かれたら、


「そうだよ…。」


としか返せなくなる。


「大丈夫。俺は寧々の隣から離れないよ。」


どきっ。冬夜にイタズラそうな笑みでそんなこと言われたら誰だって恥ずかしくなる!


だけど、その言葉で少し安心できたのは確かで、気がつくとモヤモヤしてたのなんて忘れて、美術のコンクールの話をしてたら,来月一緒に美術館に観にいくことになって、家に帰った時にはもうすっかり上機嫌だった。