いつものように美術部で絵を描いて、ちょうどいいところできり、校門を出ると、校門の脇に女の子に囲まれて眉間にシワを寄せている、冬夜を見つけた。
今日はついてないかも。よりによって冬夜のモテモテシーンを同じ日に二回もみることになるなんて。
それにしても、校門の脇で、一体何をしているんだろう…?
誰かを待っているのかな?彼女?こんなモテモテだったら彼女の一人くらいはいるよね。
見ないふりをし、通り過ぎようとすると、
「寧々、帰るぞ。」
と呼び止められた。
周りの女の子たちの視線が痛い。
「えっと…わ、かった…。とりあえず行こ。」
私はまさか私を待っているとは思わなくて、びっくりして声がうわずってしまった、
冬夜も女の子達から早く離れたいのか、私の手を取って歩き出した。
「冬夜、ごめん。いつから待ってたの?」
さりげなく手を離し、冬夜に聞く。
「いや、俺も今部活終わったところで美術室から寧々が出たの見たから、待ってた。」
「えっと、ごめん……」
いや、ありがとうって言わなきゃなんだ。
「じゃなくて、いつも私のペースに合わせて待っていてくれて、本当にありがとう。冬夜は優しいね。」
そう言って笑顔を向けると、冬夜は顔をそらし、
「別に誰にでも優しいわけじゃないから。」
と言った。

