美術の授業の後,私は先生に呼び止められた。
「星宮、この前描いてた水彩画、県のコンクールに出したいんだが…」
「えっ、いいんですか?」
私は美術部に入っている。絵を描くことが好きなのだ。
「ああ、星宮の作品を出したいんだ。」
「はい、お願いします。」
「わかった。来月には美術展に飾られてると思うから,行ってみるといい。」
「はい、ありがとうございます。」
私は水彩画で風景を描くのが好きで、よくその日見た、綺麗だなと思った景色を絵に表していたら,偶然県のコンクールに参加できた。
初めての参加は嬉しかったけれど,さっきの冬夜を見かけた時を思い出して、素直に喜べず、モヤモヤした気分だった。
コンクールのことを麗華に話すと、
「えっ、県のコンクール!?おめでとーー!寧々、すごいじゃん!」
と私よりも喜んでくれた。
「冬夜くんにも言ったら?きっと褒めてくれると思うよ。」
「うん…。そうしようかな。」

