幼なじみは、今日でおしまい。


次は移動教室で美術の授業だから、美術室に向かった。


冬夜とは違うクラスで、あまり学校内で会うことは少ない。


「「「キャー!!」」」


「あっ…。」


美術室の廊下を歩いているところで、人だかりを見つけた。


女の子にキャアキャア騒がれていたのは…


「東雲くーん!!!」


冬夜だった。


別にただの幼なじみだから私が気にする意味もない。


なのになぜか冬夜が私が知らない世界へどんどん行ってしまう気がして,怖くなってしまった。


「相変わらずモテモテだね、君の幼なじみ君は。」


「うん…」


「えっ、寧々?どうしたの?…あっ、まさか…?」


麗華がニヤニヤしながら私と冬夜をチラチラ見ていた。


私は慌てて、


「違う違う、麗華…!そんなんじゃなくて、ただ冬夜と私はなんか遠い存在なんだなーって実感させられて…って、そんなんじゃなくて!!」


「そっかー、まぁ大変だよね。幼なじみがモテすぎても。東雲くんが冷たく接しているだけで良かったんじゃない?」


冬夜は別名クール王子と呼ばれているほど冷たく,女嫌いで有名。


だけどイケメンな上に運動も勉強もできちゃうから、モテモテ。


それを実感させられたようです…。


「うん、まーとりあえず行かないと、また遅れちゃう!」


「そうだね,いこ!」


私はモヤモヤした思いを抱えながらも急いで美術室に向かった。