ハッとして、身体を起こした。
いつの間にか私はカウンターに伏せて寝てしまっていたようだ。

夢?あの時の…


あの時のあの続きのように、椅子から降りカウンターの下へもぐり込み手を伸ばしてみる。

本当に懐かしい。

そこには、


『Kenji・Akari/20**.11.20』


二人の名前とオープンした日、あの時はまだ予定の日だった日付を彫った跡。
この日は私の誕生日でもあった。

あの時、照れ隠しにぶっきらぼうに記念だと言っていた顔を思い出し、クスッと一人笑った。

立ち上がり時計を見ると、二本の針はもうすぐてっぺんを指す。
もう間もなく日付はかわり、11月20日を迎える。
日が変わればオープンを迎えた日であり、私の誕生日でもある。

カチッと小さな音をたて、時計の針がぴったり重なった。


ケンジさん大丈夫かなと、そう思ったその時、外から低いエンジン音が聞こえた。
すぐ横の窓を覗くと、見えたのは店の真ん前に横付けした黒いJEEP。

帰ってきた…!ケンジさんだ!

勢いよく車のドアが開くと、飛び出す人影が見えた。