少し沈黙が流れ、そしてマコトはまた痛い事を言った。


「それは結局、"昔のケイスケ"への"昔のアカリ"の気持ちだろ?
"今のケイスケ"に対しての"今のアカリ"の気持ちはどうなわけ?」


「…だから、分かんない。」


「分かんないのは昔の自分ばっかり見てるからだろ。」


何にも言えなかった。
思い返せばその通りで、いつも昔を思い出していた。

ケイスケと接する時は、いつも「昔のケイスケ」と「昔の私」を見てたのかもしれない。

気持ちの整理がついていたのは間違いない。
だけど、未だに「昔の私」に捕らわれていたなんて自分では気がつかなかった。
それでも、大人になったケイスケを確かに感じもした、ドキドキもした。
でも、7年前のまだ十代だった私をどこか残したままケイスケを見ていた気がする。
今のケイスケを私はちゃんと見ていなかった。


「着いたぞ。」

「あっ…。
ありがとう、マコト。色々。」

「あぁ?いいって。
じゃぁ、また明日な!」


ドアをバンと閉め手を振ると、マコトも手を軽くあげ車を発進させた。

本当、私は成長が遅い。
いつも誰かに気づかされないと分からない。

マコトの車を見送りながら、すっかり冷たい空気を大きく吸って、ゆっくりはいた。