唐突すぎる質問に思わず動揺してしまう。


「ケイスケはお前の事好きなんだろ?」


なんとストレートな聞き方だろう。
再会した日の夜にケイスケに言われたことは誰にも話してない。


「…なんで、そう…思うの……?」

「見てれば誰だって分かると思うけど?」

「えっ?うそ!」

「だから、ケンジさんもケイスケがアカリを誘うと、メシでも何でもついて行くだろ?
ケンジさんが無理な時はオレとかアツシ。それも強制的にな。
休みの日でも「今日暇だろ!」っつって連絡くんだよ。」


すごい笑いながらマコトはそう話す。
思い返せば確かにそうだ。
それが当たり前すぎて、なんとも思っていなかったが…。


「確かに…。なんか凄い連携プレーだね。」

「まぁ、心配なんだろ色々。
でも、こないだは二人で朝飯行ってから出勤したんだろ?」


心配…、やっぱりかけてしまうんだな。


「確かに行ったけど、二人で会ったのはあれから初めてだよ。」

「ふーん。」


「でも、言われたことはあるんだ。」


「好きだって?」


「まぁ…。でもケイスケと再会した日だから2ヶ月以上たってるし、もう違うかもしれないけど。」


「でも友達になったって笑って帰ってきたじゃん?
そん時に振ったの?」


「そうではないんだ。
今すぐどうこうじゃなくて友達になろうってケイスケが言ったの。
より戻そうなんて言われなかったよ。」


赤信号で車は止まり、マコトが振りかえった。


「じゃ、より戻そうって言われてたらお前どうしてた?」


マコトは痛いとこをつく。
あの時、私は自分の気持ちが分からなかった。


「…分かんない。」


マコトは前へ向き直り信号に目をやった。


「でも前にね、ケンジさんと話した時に思ったんだ。
本当にケイスケを好きだったのかも分からない。」


「あぁ?なして?」

「付き合ってる時ね。
ケイスケはすごくモテるから、いつも心配だった。
ケイスケが離れていくのが怖くて言いたい事も我慢してた。
それって本当の「好き」だったのかな。
この7年間も半端な事して逃げたから、だから引きずってただけかもしれない。」


車はゆっくり動きだし、窓を眺めながら独り言の様な私の話をマコトは黙って聞いていた。
昔の自分を窓に映して見ているような変な感覚だった。

改めて口にすると、あんなに悩んだ7年間が呆気なく感じてしまう。