それから、しばらくするとケンジさんがフロアへ出てきた。
頬はまだ赤いけど、少しは良いみたい。
「アツシ、どうだ?
悪いな、ケイスケ。ちょっと見せてもらうな。」
「どうぞどうぞ。」
「ケンジさん、ありがとうございます!お願いします!」
またケンジさんはいつも通りの様子でアツシにアドバイスをしたりしている。
そのうちケンジさんのお客さんが少し早めに来店し、ケンジさんに引き継いだ。
ケイスケも間もなく終わり、カウンターで会計をする。
「ケンジさん、赤み少し引いたね。
様子はいつも通りだし、まぁ良かったね。」
「うん。とりあえずお客さんの前に出てもなんとか大丈夫な感じかな…。まだ赤いけどね。」
小さな声で会話をし、手を振って見送った。
ケンジさんのお客さんは知り合いで、いつも通り笑ったりしながら進めている。
大丈夫そう。
少し、ケンジさんの様子を見てみよう。
場合によっては、思いきって聞いてみようと思った。
ケンジさんの様子を気にしているのは、もちろん私だけではなく、ヤヨイさんはちょこちょこ私のところに来ては様々な予想をしている。
粗方、浮気でもして怒られた説が濃厚説を唱えていた。
私は浮気をケンジさんがするとは思えなかったし、少しも浮気かと浮かんでもこなかったが、ヤヨイさんもまさかとは思うけど男なんて分からないと言っていた。
その日は気にしつつも、そのまま誰も触れることなく1日を終えた。
あれから数日が過ぎても、ケンジさんの腕や首にも小さくはあるが傷が出来ている日が増えた。
だけど、もっと心配なのはケンジさんがあまりにも普段通りなこと。
普通すぎて何が起きているのか聞くに聞けない。
それに、最近ケンジさんはみんなとご飯にも飲みにも行かず帰ってしまう。
仕事中になんて聞けないし、話す時間もない。
ビンタを目撃した日から、今日までの数日間こんな様子だ。
今日も閉店するとケンジさんはすまんと言って店を出た。
それを見送ると、アツシの練習にマコトが付き合うと言っていたから私も一緒に残ることにした。
マコトはアツシに課題を一つ与え、その様子を見ていた。
「ねぇ、マコト。ちょっと。」
「あ?あぁ。」
アツシを練習用のマネキンと二人きりにして、私達は奥へ入った。
アツシに聞かれないように、カチャンとドアをしっかりと閉めるなり、
「ケンジさんのこと?」
「まだ、何も言ってないじゃん。
そうだけど…。」
「まぁ、俺も気になってるからな。」
マコトももちろん、増えるケンジさんの傷に気づいてた。
私はケイスケと再会した日に気がついた絆創膏とため息の事、ケイスケと見たケンジさんと彼女のことを話した。
マコトと私の予想は当然同じだった。
別れ話が相当もつれているんだろうと。
きっと、別れ話を切り出したケンジさんに彼女が相当抵抗をしているんだろう。
仕事終わりに話し合いでもしているのだと思う。
だから、いつもすぐに帰ってしまうんじゃないかと思った。
原因は全く予想つかないし、全ては勝手な予想だけど、きっとあながち間違ってはいないだろう。
「きっと彼女さんと話し合ってるんだろうね…。」
「傷増えてないといいけどな。」
二人でため息をついた。
頬はまだ赤いけど、少しは良いみたい。
「アツシ、どうだ?
悪いな、ケイスケ。ちょっと見せてもらうな。」
「どうぞどうぞ。」
「ケンジさん、ありがとうございます!お願いします!」
またケンジさんはいつも通りの様子でアツシにアドバイスをしたりしている。
そのうちケンジさんのお客さんが少し早めに来店し、ケンジさんに引き継いだ。
ケイスケも間もなく終わり、カウンターで会計をする。
「ケンジさん、赤み少し引いたね。
様子はいつも通りだし、まぁ良かったね。」
「うん。とりあえずお客さんの前に出てもなんとか大丈夫な感じかな…。まだ赤いけどね。」
小さな声で会話をし、手を振って見送った。
ケンジさんのお客さんは知り合いで、いつも通り笑ったりしながら進めている。
大丈夫そう。
少し、ケンジさんの様子を見てみよう。
場合によっては、思いきって聞いてみようと思った。
ケンジさんの様子を気にしているのは、もちろん私だけではなく、ヤヨイさんはちょこちょこ私のところに来ては様々な予想をしている。
粗方、浮気でもして怒られた説が濃厚説を唱えていた。
私は浮気をケンジさんがするとは思えなかったし、少しも浮気かと浮かんでもこなかったが、ヤヨイさんもまさかとは思うけど男なんて分からないと言っていた。
その日は気にしつつも、そのまま誰も触れることなく1日を終えた。
あれから数日が過ぎても、ケンジさんの腕や首にも小さくはあるが傷が出来ている日が増えた。
だけど、もっと心配なのはケンジさんがあまりにも普段通りなこと。
普通すぎて何が起きているのか聞くに聞けない。
それに、最近ケンジさんはみんなとご飯にも飲みにも行かず帰ってしまう。
仕事中になんて聞けないし、話す時間もない。
ビンタを目撃した日から、今日までの数日間こんな様子だ。
今日も閉店するとケンジさんはすまんと言って店を出た。
それを見送ると、アツシの練習にマコトが付き合うと言っていたから私も一緒に残ることにした。
マコトはアツシに課題を一つ与え、その様子を見ていた。
「ねぇ、マコト。ちょっと。」
「あ?あぁ。」
アツシを練習用のマネキンと二人きりにして、私達は奥へ入った。
アツシに聞かれないように、カチャンとドアをしっかりと閉めるなり、
「ケンジさんのこと?」
「まだ、何も言ってないじゃん。
そうだけど…。」
「まぁ、俺も気になってるからな。」
マコトももちろん、増えるケンジさんの傷に気づいてた。
私はケイスケと再会した日に気がついた絆創膏とため息の事、ケイスケと見たケンジさんと彼女のことを話した。
マコトと私の予想は当然同じだった。
別れ話が相当もつれているんだろうと。
きっと、別れ話を切り出したケンジさんに彼女が相当抵抗をしているんだろう。
仕事終わりに話し合いでもしているのだと思う。
だから、いつもすぐに帰ってしまうんじゃないかと思った。
原因は全く予想つかないし、全ては勝手な予想だけど、きっとあながち間違ってはいないだろう。
「きっと彼女さんと話し合ってるんだろうね…。」
「傷増えてないといいけどな。」
二人でため息をついた。
