後悔

そんなある日のことだった。

朝、まだ寝起きでボーっとしながら歯を磨いているとケータイがなった。
新着のメッセージが一件届いている。
まだ働かない頭でメッセージを開くとケイスケからだった。


「おはよう。
今日も仕事？今日一番に予約入れてるんだけど、一緒に朝飯くって店行かない？」


なんだか一度読んだだけでは理解できず、もう一度読んだ。


「ケイスケと一緒に朝ご飯…？
ん？……えっ？！｣


こんなパターンは初めてで時間差で驚いて、思わず声に出した。
再会後に２人で会うなんてしたことがなく、少し躊躇いがある。
でも、断るのも意識してるみたいだし、でも２人である事に戸惑ったのは正直なところだ。
ただ、せっかく友達になったのに、これでは意味がない気もした。

確かにケイスケの予約が入っていた。
仕事は水曜日定休と言っていた。
いつも鍵を開けるのは私だし、少し早めに出勤して準備をしている。
早くに付き合わせてしまうのもどうなのか。


「おはよう！私いつも少し早めに出勤してるんだけど大丈夫？｣


そう返事をすると、すぐに「全然ＯＫ！｣と返事がきた。
出勤時間から、ご飯を食べる時間を差し引いて設定した待ち合わせの時間まで、あと一時間もないほどだ。


「ヤバい！｣


大きな独り言を言って、慌てて準備をして家を出た。

待ち合わせの駅前に、時間ギリギリに着くとケイスケはもう来ていた。


「…おはよう！ごめん…！」


荒い呼吸で、大きく白い息をはいた。


「おはよう！大丈夫？｣


「うん！今ちょっと走ったから…！」


慌てて走ったから、少し息があがってしまったと私が笑うと、


「息もだけど、髪も乱れちゃってるよ。」


笑いながらケイスケが言う。
そもそも時間がなくてちゃんと出来なかった自覚があった私は…


「ジャーン！必殺の帽子～。｣

「アハハ！それ無敵じゃん！」


二人で会うことに多少の緊張がなかったわけではなかったけど、二人でこうやって笑えるとそんなことすぐに忘れてしまった。


「じゃ、行こうか！腹へった！｣


ほのぼのした時間に自然と笑顔になる。

私達は並んで駅前の通り沿いにあるカフェに入った。
もう11月に入り朝は寒い。
身体を温めたくて、ホットココアと軽い食事を注文した。
冷えた手をスリスリする私を見てケイスケが言った。


「寒い？｣

「ちょっとね！でもすぐ暖まるよ。」

「じゃぁ、少しでも早く暖まるように。」


そう言って、ケイスケは私の手を両手で覆うように握った。