それから、ケイスケと再会し友達になったあの日から2カ月程たった。
季節は日に日に朝晩は寒さ感じるようになってきた。

その間に、ケイスケも店のみんなとどんどん仲良くなり、たまにいつものお店にも顔をだし一緒に飲んだりもした。
ケータイの番号はみんなと同じときに交換したものの、それはごく自然に行われた。
7年前のわざと聞き逃した時のことを思い出して、少しだけ胸がギュッとキツくなった。

私とケイスケは二人で会うということはなく、ご飯に行こうとなるとケンジさんや誰かは必ず一緒だった。
会えばケイスケと色んな事をたくさん話した。
私になついてくれた妹のマリちゃんの話、仕事の話。
いろいろな話をした。

ケイスケは今、大手の車屋さんで営業として働いているようだ。
外車のメーカーで、こっちの支店に移動になって来たと言っていた。
車が好きなケンジさんやリョウさんやマコトとはよく車の話をしている。

妹のマリちゃんは今年大学を卒業して、地元で無事就職出来たと聞き安心した。
もうそれほど月日がだったのだと思うと感慨深いものがある。
笑顔の優しい女の子だった。
きっと美人になっているに違いない。

ケイスケの恋愛については、当然だろうけどそれなりにしてきたようで彼女もいたみたい。
再会してから一番感じたのは、チャラさがなくなったことと、人をおもいやったり優しくなっていたことだった。
そしてこの顔だ。相変わらずモテたのは想像がつく。
色んな話をしたが、恋愛の話を自然に聞けていた自分に少し驚く。
昔のことをもう引きずることがなくなったからかもしれない。
ただ、私自身のことはあまり当たり障りない話をした。
ケンジさんに本屋で知り合った事や、マコトとは小中と同級生で実家が近い事。
そんなマコトと同じお店で働いているのは偶然だったことなどで、私がどう過ごしてきたかということは表面上の事以外あまり話せることがなかった。

ケイスケと会うたびにお互いの事を話してるととても不思議な感覚があった。
抜け落ちた7年間が少しずつ埋まっていくような気がして、あんなに苦しかった過去が嘘のようだった。

ここところ、気持ちはとても充実している。
お店のみんなとの絆も前よりも深くなった気がする。
特にヤヨイさんとは女同士と言うこともあって、一緒にお風呂屋さんに行ったりいっそう仲良くなった。

ヤヨイさんはケンジさんのお店にきて3年目。
三十路を前に合コンで男探しに忙しそうだ。