後悔

大好きな彼がいて浮気するなんて、そう思う人は多いだろう。

じゃあ、なんでしてしまったのか。
理由は簡単だった。

淋しかった。
だから、傍にいて優しくしてくれる人に甘えてしまった。
一度だけ。

よく聞く言い訳だ。
でも、こういうことなんだって分かった。

ただ、淋しさを感じていたのは別に彼が冷たかったわけではない。
彼とは少し家が遠かった。ちょっとした遠距離恋愛。

高３の冬。
同じ学年だけど、すでに免許もとれて車も買った彼。
会おうと思えばすぐに会えたかもしれない。
でも、学校が終わったらすぐ友達と一緒の彼に「会いたい」って言えなかった。
ワガママみたいで。

彼は学校とバイト以外の時は友達と居ることが多かった。電話をすれば後ろではいつも友達の声がした。
そして、スロットに行って勝てばまた友達と好きなところへ出かける。

放課後にはすでに彼の予定は決まっているし、平日は会う約束なんて出来ないし、学校が休みの日は大体バイト。
今思えば私との約束は優先されることはなかった。

だけど、そんな彼とでも連絡は頻繁だった。
電話やメッセージのやりとりはたくさんしていた。
遠距離恋愛の私達には特に大切ことで、連絡が取れなくなるなんてあり得ない。
そんなことほとんどなかった。

「好き」もいつも言ってくれた彼。
すごく恥ずかしくて、どう答えたらいいのかわからなくて誤魔化してばかりだったけど本当はすごく嬉しかった。

でも、いくら言葉を貰ってもやっぱり淋しさはどこかにあって。
もっと会いたかった。
もっと彼に甘えて少しくらいワガママも言えばよかった。
なのに、会えないことに不満を言うこともしなかった。
どうして言えなかったんだろう。私は。
約束なんてしなくても会いに行くことだって出来たはずなのに。
今思えば遠慮をしていた。諦めもあった。
仕方ないと納得していたつもりだった。
理解のある彼女を装っていたのかもしれない。

そんなの必要なかったって、もっと早く気づいて彼にたくさん甘えればよかった。
１番甘えたかった人なのに。

彼以外、私の淋しい気持ちを埋められるわけないのに。