私はずるい。

自分の過ちを自分で告白した。
そして、自分から彼に別れを告げた。

あの時は、正直に告白して別れる事で彼は幸せになると思っていた。
隠し通そうなんて少しも思わなかった。
そんなこと絶対出来ない。
浮気をして、それを隠すために嘘をつき大好きな人をまた裏切って、いつも通り笑うなんてできるわけない。

だから、最低な私が大好きな彼から身を引く。
それしかなかった。


「許すから…、帰ってきて。」


責められるのは当然。覚悟をしていた。
それなのに、彼は途切れそうな、でもとても優しい声でそう言った。

でも、きっと喧嘩をするたび、連絡が取れなくなるたびに彼の頭には嫌でもこの事が頭に浮かぶだろう。

そんな状態で幸せだと思えるのかな。

たくさん考えたけど、やっぱり別れしか償う方法はないと思った。


今、思えば現実から逃げようとしていたのかもしれない。
都合のいい言い訳をみつけただけだ。

当然それから逃げられるわけなんかなくて、その決断は余計に自分を苦しめるだけだった。

ただ、この時はまだそれに気づけずにいた。
こうするのが1番彼にとって良いことだと思い込んでいた。