後悔

1人になった部屋で、私は初めて大きな声で泣いた。
ごめんなさいと何度も繰り返しながら。

出て行った彼やそして私と関わりを持った全ての人へ向けて何度も。
誰にも届かないのは分かっていたけど、声に出さないともうおさまらなかった。


「ケイスケ…
会いたいよ、大好きだよ。｣


この名前も言葉も、声に出したのはあの日から初めてだった。
言葉にした途端、自分を保つ為に装っていた嘘の自分が壊れた。
濁流のようにたくさんの気持ちが溢れ出て、自分でもせき止めらない。
心がぐちゃぐちゃになって、もうこれ以上壊れていくものはないだろう。

泣いて泣いて泣いて、どのくらい時間が経ったのかは分からない。
ようやく泣き疲れた頃、ふと自分の変化に気がついた。
罪悪感はあるが、不思議と重く尖ったつっかえが取れたらように胸が軽くなったのを感じた。
思い切り泣き、言葉にしたことで不思議と何かが変わっていくような気がした。

いつまでもぐちぐちと泣いて、回りの人を裏切ってどんどん腐っていた私。

神様がいるなら、さすがの神様も呆れてしまったのかもしれない。
私が神様ならとっくに呆れている。

これは神様が反省しなさいと言っているんだろうか。
7年間も引きずり続けてるだけで何も進歩のない私に。

叶うことのない想い。
裏切った人達への償い。
忘れてはならない全ての過ち。
これは、全て私の乗り越えるべきものだ。

今までみたく後ろ向きな私では到底乗り越えられるわけがない。
反省することはただ落ち込んで悔やみ続けることだけだろうか？
なんだか、違う気がする。
そんなんじゃ変われないんじゃないだろうか。
なにも大切な事に気づけない気がする。

少し前を向いてみようと思った。
ありきたりな表現だけど、本当にそう思った。
きっと何かが変わるはず。

いや、変えなくてはいけない。