あれから、やっぱり一度も彼から連絡が来ることはなかった。
気がつけば、あの時から7年が経っていた。

この7年で変わったことは、仕事を始めたことと、実家を出て、変わらずこの同じ町で一人暮らしをしていること。
大人になり一人で生活ができるようになったんだ。

彼を探す事はしなかった。
彼と共通の友達なんかはいない。
私が彼の実家に訪ねるなんてもっての他で、彼が訪ねて来ることもなかった。
探せば見つけられたかもしれない。
でもそんな事は出来なくて、やっぱりただ想うだけ。

結局私の中身はさほど変わってないようだ。


―― オレ、ずっと好きでいるから。


この7年、彼のこの言葉を何度思い出しただろう。
彼が今でも私を想ってくれてるなんて、もちろん思っていない。

ただ、私の名前を呼ぶ声。
好きと囁く声。

思い出の中のいくつもの彼の声は私の心を暖かくし、息が出来ないほど胸を締め付けもした。

今、彼は何をしているのかな。
恋をしているのかな。
もしかしたら、結婚も?

幸せだといいな。

いつもそう思っていた。
忘れた日なんかなかった。

だけど、少しずつ変化する。
望んでいなくても。

彼を想う気持ちはなくならなくても、隠すことは上手くなった。
変わらないのは、彼を思うたびに「ごめんなさい。」とそっと呟くこと。

私の生活は気持ちを誤魔化しながらどうにか落ち着きだし、彼氏もでき一年になる。
新しい彼を好きなのかはわからない。

嫌いじゃなかった。
一緒にいれば笑えたし、楽しい時間はあった。
こんな付き合い方なんて最低だなって思う。
でも、寂しさを紛らわすことが出来た。
好きだと言われてもなにも感じない。
顔だけは笑顔を作っても、冷えた心は温まりはしなかった。

心は繋がることなく、体だけが繋がる。
最初は嫌悪感で体は拒否してたのも、いつからか目をつぶって、「フリ」だけしてただ終わるのを待つようになった。
改めて振り返ると、つくづく最低だと思う。

いつも心と体がバラバラだった。
自分の気持ちを誤魔化すことに慣れてしまっていた。

私の心は大好きな彼に届かない。
そんな自分の心も体ももうどうでも良くなってしまっていったのかもしれない。

こんな私を彼が知れば幻滅するだろう。
自分でも幻滅してるんだから。

全てがチグハグな私の生活。
どれが本当の私なのかも分からなくなっていた。

こんな私に、未来は少しの光も示さない。