あの公園から、俺達の恋は始まった。

否定してよ。彼女じゃない、って言ってよ!
ねぇ、朝日くん?


すると、朝日くんが返事をするより早く、今まで黙っていた愛佳さんが口を開いた。



「‥‥貴女が美咲仁菜?悪いけど、朝日は私の彼氏なの。貴女は遊ばれていただけ」

「嘘、でしょ‥?ねぇ朝日くん?どうなの、本当は!?」

「愛佳の言う通りだよ。仁菜は遊び。本命は愛佳」




愛佳さんの冗談だと思った。いや、そうであって欲しかったと言うべきか。

ただ、それを‥‥浮気という事を否定する言葉だけで良かったのに、逆に肯定する言葉が返ってきて私は最早困惑を隠す事が不可能になっていた。



さっきの戸惑っていた姿とは一転、淡々と事実を告げる朝日くんに本当に私は遊びだったんだ、と悟る。

不思議と、涙は出てこなかった。
ただ、虚しい。ぽっかりと心に穴が空いた気分だった。



「そ、っか‥‥」

「ごめん仁菜。別れよう」

「うん‥。お幸せにね」


そう言い残して、朝日くんと愛佳さんは去っていった。上手く笑えていたかな?引き攣ってなかった?


2人はまるで、私に見せつけるかの様にお互いに腕を組み、甘い笑顔を向け合って。どこからどう見てもお似合いだ。

美男美女。この言葉がしっくりくる。

悲しいなぁ。私なんかより、よっぽどお似合い‥。