あの公園から、俺達の恋は始まった。

少し癖が強い親友達に感謝しながら、小走りで朝日くんのお家に向かう。

折角実苓ちゃんからアドバイスを受けたけど、走っているから整えても整えても前髪が崩れていく。
ごめんね、実苓ちゃん。



今日は金曜日で、毎回金曜に朝日くんのお家にお泊まりさせて貰っている。この日が週で唯一会える日だ。
そして、土曜日の早朝に解散するのがいつもの流れ。



今日は講義が長引いちゃったなぁ。
朝日くんといられる時間が短くなるから少しでも早く会いたい!




「‥‥‥愛佳(あいか)


後ろで、酷く甘い声で女の子の名前を呼ぶ男の子の声が聞こえた。

仲がいいカップルなんだなぁ。と思っていたけど、知っている声な気がして振り向く。
すると、そこには彼女である私にも向けられた事がない様な甘い笑顔をした私の彼氏‥‥朝日くんが、いた。


愛佳、と呼ばれた女の子は凄く可愛くて、到底私なんかが敵う様な人ではない。




いや、嘘、だよね?朝日くんに限って‥‥浮気なんてしてないよね?きっとお姉さんか妹さん、だよね‥?


「あ、朝日くん?」


恐る恐る近づいて声をかけると、明らかに戸惑っていると分かる様な返事が返ってきた。



「は?仁菜!?何でお前がここに?」

「だって今日は金曜日だし‥。その子‥愛佳さん?はどちら様?もしかして、彼女‥?」


今にも顔に出そうになる困惑を何とか押し殺して、詰め気味に尋ねる。