今度は彼の方が目を丸くした。
「そんなに驚く?
もしかして過去になんか
やらかしたとか?
だったらーーー」
「違う」
その時の私の表情はどんなだったろう。
自信満々で受けた満点のテストなのに、カンニングを疑われた時のようだった。
彼は真剣な表情に戻って、
「これはなんかあるな」と確信めいた質問を投げつけた。
「もしなんか言うべきことがあるなら俺に言った方がいい。守るから。彩音のこと。」
急に電車が大きく揺れた。彼は私に壁ドンした形になった。その後はお互い顔真っ赤っか。で、続きはイチャイチャして談笑した。
帰り際、
「また時間があるときにちゃんと話す」
「よかったらラインする?
ラインだけでも知りたいな。早く君の大変そうなこと知りたいし。」
「...わかった。ありがとう。」
目線を横に逸らし、それだけ伝えた。
軽めのptsd心的外傷後ストレス障害を抱えていたわたしにとっては文章は頭で変換しながら目の前の相手に伝えるより遥かに楽な方法だった。


