割ったグラスの片付けを一緒にしていた時だった。

わたしわざと毎日新聞紙を持って行っては彼がグラスを割るタイミングを見計らってた。

その要らない新聞紙を包むようにして割れたグラスの破片をかき集めている時に、

わたしから声をかけたんだ、


すみません、て断る彼に対して、

「全然…これ、わざと持ってきた年号が平成、元年正月の新聞なんです。だから…。」


「こんなこというのはおかしいかもしれないですけど、帰りまで待っててもいいですか…?」


この出会いが、後のわたしに関わる最大の運命の歯車とはまだ思いもしなかった。