マリアンヌに私のすべてをあげる


どうしてこうも貴族連中は、しょっちゅう集まりたがる!!
今度は爽やかクリストファーの屋敷に呼ばれちまった。

あーーめんどくさっ!!

まっ、マリアンヌと一緒に行くし変な女に絡まれる心配はないだろうが……。


ソビエスキー邸に着いた私は馬車から降り、マリアンヌを待っていた。

なんだかんだで待つこともさまになってきてるし……これまでの私では有り得んわっ。

もうすぐ出て来る頃かなっと考えてたのと同時に屋敷からマリアンヌが出てきた。

ん……っ?
今日のマリアンヌ……雰囲気がいつもと違うように見えるな……

『お待たせしました。レオナルド様』

『う、うん、大丈夫……行こう』

マリアンヌの手を取り二人で馬車に乗り込む。

なんか恋人同士みたいじゃん。
家に迎えに来たり、手を取ってみたり、あまりにも自然にしてる自分にビビるわっ。
婚約者のふりしてるせいか妙な気になってくるな。

❤︎❤︎

プロヴァンス邸に到着し、私とマリアンヌは大広間にいる爽やかクリストファーに挨拶しに行った。

『クリストファー、今夜はご招待ありがとう』

ーー全く招いて欲しくなかったけど。

相変わらず女連中に囲まれてるな……この色男は。

『レオナルド、マリアンヌ嬢!! 来てくれて嬉しいよ。是非ゆっくりしていって。おやっ、マリアンヌ嬢…… 今宵はいつにも増して美しいね』

ーーそれは私もそう思った!!

爽やかクリストファーもそう思ったんだ。
さすが色男だけあって女を褒めんのが上手いな。

『そんなことは……私なんて……』

照れてる照れてる。男に褒められると嬉しいもんなんだなぁ。

『マリアンヌ嬢は綺麗なんだから、もっと自分に自信を持ったほうがいいよ』

『…… は、はい。ありがとうございます……』

レオナルドはマリアンヌを褒めるどころか散々なこと言って、やってきてるからな。こうやって爽やかクリストファーに褒められるのは嬉しいだろなーー。

『マリアンヌ嬢、向こうに飲み物があるから飲んでおいで。僕はレオナルドと話があるから』

『はい。わかりました。では私は失礼いたします』

それにしても爽やかクリストファーって、マリアンヌを見る目が優しいよなーー。

『レオナルドッ!!!!』

『は、はい、な、何?』

なんだよ、マリアンヌがいなくなった途端に目つきが変わったような……

『先に言っておくよ。僕の屋敷でマリアンヌ嬢を裏切るようなマネしたら許さないからね。他で好き勝手するのはレオナルドとマリアンヌ嬢の問題だと自分に言い聞かせてきたけど…… ここでは絶対にダメだよ』

なんだ……この圧……すごい背筋が凍りそうになったわっ。
怖いんですけど……
こ、これってもしや……爽やかクリストファーはマリアンヌのことを?

『も、もちろん。心配しなくても大丈夫だ』

『わかってくれたならいいんだ。それじゃあ僕は来賓客に挨拶しに行ってくるから』

『あ、あぁ……また……』

なんだか複雑なような、変な気持ちだな。
とりあえずマリアンヌのとこ行こっ。

人ごみに紛れ込んでしまっているマリアンヌを捜していると、どこからかレオナルドの名を呼ぶ声がする。

『レオナルド様〜〜〜〜♡』

ギクッ、、このやたら甘ったるい声は……

ーーマリリンモンルーサラッ!!!!

ついさっきクリストファーに釘刺されまくったばっかの最悪なタイミングで、なんでアンタは私の前に姿を現す!!

『や、やぁサラ嬢……』

『レオナルド様にまたお会いできて嬉しいですわ〜〜ぁ』

ーーこっちは二度と会いたかねぇわ!!

『あ、ああ、そうだね。会えて嬉しいけど…… マリアンヌを捜しているところなんだ。だから悪いけどもう行くよ』

ややこしい女は放っておいて早いとこ退散しようとした矢先、いきなりマリリンモンルーサラが目の前でしゃがみ込んだ。

ーーなんだ……どした?

『サラ嬢、どうされました?』

『……ワインを飲みすぎてしまったせいか…… 急に気分が……』

えーーそりゃ大変だっ!!
それなら外にでも連れて行くかっ。
どこかにイスくらい置いてあるだろうし、夜風にでもあたりゃ酔いも覚めるだろう。

『サラ、一緒に外へ出よう』

『はい……』

足元がおぼつかないマリリンモンルーサラの手を引いて大広間を後にし、庭のベンチに座らせた。

『ここで気分が良くなるまで休んでおくといいよ。今から水持ってくるから』

『レオナルド様…… 背中をさすっていただけませんか……』

『あ、うん。わかった』

こんなかしこまった場で気分悪くなるまで呑みすぎんなよなーーぁ。

マリリンモンルーサラに近づき手を伸ばしたその時だった、マリリンモンルーサラが私の背中に腕を回し無理やり抱きついてきた。

おめーーーーぇ!!
私をハメやがったなッ!!!!
そう悟っと瞬間、マリリンモンルーサラが声を上げる。

『あら〜〜、マリアンヌ様〜〜そんな所で立ちすくんで如何なされましたか〜〜?』

えっ、、ま、マリアンヌ………!?

振り向くとそこにはマリアンヌの姿が……

『さ、先程…… お二人で大広間から出て行かれるお姿をお見かけしたものですから、気になって来てしまったんですが…… お、お邪魔でしたね。すみません。それでは私は……』

『ま、待って…… マリアンヌッ!!』

抱きついてるマリリンモンルーサラを振り払い、私に背を向け去って行こうとするマリアンヌの細い腕をとっさに掴んだ。

『マリアンヌッ!!!!』

こっちを向いて欲しくて必死に名前を呼んだ。

『は、離して…… その手を離して下さぃ……』

ーー声が……震えてる……

『誤解だから!! 何もしてないから!!』

あの状況を見て信じろって言うほうが無理かもしれないけど、私を信じて欲しい……

ーーこっちを向いて欲しい。

自然とマリアンヌの腕を掴んだ手に力が入る。

『離して下さい……』

ーーマリアンヌ……

掴んだ手の力をそっと緩めると、マリアンヌはそのまま屋敷の中へ戻って行った。

なんだろう……なんでこんなに胸が痛んでんだろう?
私が悪いから……?
私がマリアンヌを傷つけたからか……?

『レオナルド様〜〜ぁ!! こちらでさっきの続きをしましょうよ〜〜♡』

ーーなんでこんな……?

『レオナルド様ったら〜〜聞いてらっしゃいます〜〜ぅ?』

この重苦しい空気を読めない大まぬけなマリリンモンルーサラが私にバックハグをする。

ーーブチギレた。

『聞けッ!! マリリンモンルーサラッ!! 私はマリアンヌを絶対に裏切らねーーからなッ!! わかったなら今すぐ離れやがれッ!!』

『ハ、はい…… ? マ、マリリンモンルーサラ……???』

早くマリアンヌを追わないと。
ちゃんと話そう……マリアンヌ……