彼女は美咲と同期入社で、羽田空港店の店長である。頭の回転が早くテキパキと仕事をこなす彼女は一貫して現場主義を貫いており、エリアマネージャーではなく店舗に立ち続ける道を選んだ。
『人と話すのが好き』だと話す彼女の接客は丁寧で、後輩やスタッフを育てる術にも長けている、とても頼りになる店舗責任者だ。
「はぁ、お腹すいた。美咲はなに食べたい?」
「この時間ならわりとどこでも空いてるよね。展望フロアにあるパンケーキのお店は?」
「いいわね、そうしよう」
朝から立ちっぱなしで接客しているため、もうお腹はぺこぺこだ。
お目当てのパンケーキの店は思った通り空いていて、奥の窓際の席に案内された。大きな窓からは滑走路を一望でき、離着陸する飛行機がよく見える。
(久しぶりに店舗に立つのは楽しいけど、空港店っていうのがね……)
学生時代、美咲はこの店でバイトをしていた。
店の前を大翔が通るたびに目で追いかけ、その日一日が幸せでいっぱいになる。彼を待って一緒に帰宅する日もあった。反対にバックヤードで佐奈に鉢合わせたり彼女が来店したりした日は、攻撃的な言葉を浴びて落ち込んでいた。



