「あ、ほら! 噂をすれば」
振り向くと、真っすぐに美咲へ視線を向ける大翔の姿があった。
ドキッと心臓が跳ねるが、それを表に出さないように営業スマイルで出迎える。
「いらっしゃいませ」
「お疲れ様。いつもの頼める?」
辻村の言う通り、大翔は美咲がシフトに入っている日は必ずこの時間にやって来ては、コーヒーとサンドイッチをテイクアウトしていく。カランドで働くスタッフの中で噂になり、オーダーが『いつもの』で通ってしまうほど常連となって通っているのだ。
「はい。アイスコーヒーとBLTサンドですね。少々お待ち下さい」
「あ、待って」
「はい?」
「顔が赤い。もしかして風邪引いた?」
カウンター越しに大翔の手が伸びてきて、そっと美咲の頬に触れた。心配そうに潜められた低い声音は、普段よりも甘く響く。



