「まじっすか。あっ、ていうか佐伯マネ。そろそろ時間、時間」
そう言って、彼は店の壁掛け時計を指差した。
「え?」
「あっ、例のイケメンパイロットですか?」
「そうそう! 佐伯マネに会うために、休憩時間は必ず来んの。もう佐伯マネしか視界に入ってないって感じでさー。めっちゃ愛されてるっすね」
辻村がニヤニヤと笑みを浮かべてからかってくるのを、美咲は敢えて眉間に皺を寄せて窘める。
「こら、トレーナーが無駄口たたかないの。仕事して」
「わぁ、佐伯マネージャー、顔真っ赤ですよ。ふふっ、可愛い」
どれだけ怒ったふりをしてみても周囲には照れているのがバレバレらしく、それが余計に恥ずかしい。エリアマネージャーの威厳もなにもあったものではない。
「もう、葛西さんまで。はい、ラウンドしながらバッシングしてきて」
店内を回りながら食事の済んだ皿を下げるように指示を出したその時、辻村が嬉しそうに美咲の背後に視線を移す。



