――不安の、種。
美咲の脳裏に、佐奈の勝ち誇った美しい顔が思い浮かぶ。
大翔と過ごす時間は楽しかったし、幸せだった。けれど、同じだけ嫉妬で苦しかった。
大翔から向けられている愛情を、過去に別の誰かが受け取っていた。
その事実を考えるだけで胸が痛いのに、その〝誰か〟が目の前に現れ、会うたびに不安を煽ってくる。
佐奈に立ち向かうだけの自信も、不安な気持ちを正直に伝える勇気すらなかった。大丈夫だと見ないふりをしていても、いつしか種は芽吹き、気づいたら無視できないほどに大きく育ってしまった。
「こうやって美咲がフリーになったタイミングで再会できたのは運命だと思ってる。その不安の種がなんだったのか、いつか教えてくれたら嬉しい。今度こそ、絶対に見落としたくない」
「大翔さん……」
「もう一度好きにさせてみせる。ゆっくりでいいから、俺との未来を考えてみてほしい」
熱のこもった眼差しに貫かれる。
八年前と同じか、それよりももっと急速に目の前の男性に惹かれていく予感がして、全身が小さく震えた。



