「決まりだな。大翔、頼む」
「あぁ」
「……二度目はない」
「言われなくても」
短い言葉の応酬についていけない美咲に、篤志は「じゃあ、なにかあったらすぐに連絡しろよ」と頭をぽんとたたいてラウンジを出ていった。
ゴロゴロと鳴るキャリーケースの音が聞こえなくなると、あたりはしんと静まり返る。
(どうしよう。本当にしばらくの間、大翔さんの家でお世話になるの……?)
同棲していた恋人と別れ、実家もなく、兄は恋人ができて頼れない。住む場所を失った美咲にとって、大翔の提案はとてもありがたいものだ。
けれど、彼は美咲との復縁を望んでいる。
今の自分を知ってほしいと、この同居をチャンスだと言っていた。
なぜ彼が今さら美咲を選ぶのか、本気でやり直したいと思っているのか、まだ驚きと困惑で飲み込めていない。



