「本当はお兄ちゃんの家に泊めてもらおうと思って来たんだけど、仕事で留守だったから」
「だからあれほど鍵を持っておけと言っただろう。それで、その浮気野郎は?」
「大丈夫、ちゃんと話して別れたよ。浮気されたのはショックだったけど、私にも原因があったからこうなって――」
「それは違う」
「そんなわけないだろ」
隣からも正面からも一刀両断され、美咲は口を噤む。
「もし相手に不満があったとしても、それを伝えて話し合えばいいだけだし、どうにもならないと思うなら別れてから他に恋人を作ればいい。それをしないで別の女性と浮気するなんて愚の骨頂だ」
「同感だな」
兄の意見はもっともだ。けれど、悠輔に同じだけの想いを返せなかった自分にも原因はある。
そう言い募ろうとしたところに、またしても大翔の爆弾発言が飛び出した。
「でもそのおかげで美咲がフリーになって俺にもチャンスが巡ってきたんだ。もう過去の男の話はいいよ」
「チャンス?」
「あぁ。今、ちょうどやり直さないかって美咲を口説いていたところだ」
ぎょっとして隣の大翔を見ると、同意を求めるように微笑まれて目眩がしそうだった。



