「美咲、うちに帰ってゆっくり話そう」
「ううん、もう帰らない。昨日も言ったけど、私と別れてほしい」
「そんな……っ、本当に昨日は魔が差しただけなんだ。これまで一度だって浮気なんてしたことはないし、二度としない。あの部屋が不快ならすぐに引っ越す。だから――」
「それでも私はもう悠輔を信じられないし、一緒にはいられない」
美咲の言葉を聞き、悠輔がぐっと唇を噛む。
昨晩の行為を後悔していることも、美咲の気持ちを取り戻そうと必死になってくれていることもわかっている。
それでも、もう悠輔のもとには戻れない。
「……美咲は、本当に俺のことが好きだった?」
静かにそう問われ、美咲は迷いなく頷く。
誰に対しても優しいところや、仕事を懸命にしている姿を好ましいと思っていた。
「私なりに悠輔との未来を考えてた。でも……悠輔が求めていたものを、私は与えられていなかったんだよね」
迸るような愛情や身を焦がすほどの激しい熱情を、悠輔に対して抱けなかった。



