美咲は静かに首を振った。
すると悠輔の声がさらに大きくなり、美咲の肩を掴もうとする。
「待って! もう二度としない。何度でも謝るから。だからお願いだ、たった一度の間違いで別れるなんて言わないでくれ」
「その辺でやめてもらおうか」
突然庇うように肩を抱かれた美咲は驚き、声の主を振り仰ぐ。
ヒートアップした悠輔を止めたのは、美咲の少し後ろに控えていた大翔だった。
彼は身を竦ませた美咲を守るように抱き寄せ、鋭い眼差しで悠輔を睨みつけている。
「美咲は俺が幸せにする。彼女を泣かせた君の出る幕はない」
大翔が普段よりさらに低く硬質な声で言い放つと、悠輔は驚いたように目を見開いている。
「あ、あなたは美咲のお兄さんじゃ……」
「行こう、美咲」
「……大翔さん、待って」
相手をする価値もないと言うかのようにその場を去ろうとする大翔を遮り、美咲は悠輔に向き直る。すると、悠輔はホッとした表情を見せた。



