大翔はいつだって美咲に優しかった。年上の恋人の包容力で、幼さの残る美咲を受け入れてくれていた。
けれど、これは違うはずだ。
今の自分たちの関係性は『八年も前に終わった元恋人』。特筆する点があるとすれば、美咲が大翔の親友の妹であるということ。ただそれだけだ。
「美咲は?」
「え?」
「美咲は俺といるのは苦痛? 八年前みたいに顔も見たくない、声も聞きたくないほど俺を嫌っているままなら、このまま引き下がるよ」
美咲は過去の自分の非常識さを思い知らされ、きゅっと唇を噛みしめる。
たしかに八年前の美咲は、彼のすべてをシャットアウトした。でもそれは彼を嫌っていたからではない。
好きだから。好きで、好きすぎて、どうしても苦しくて逃げ出してしまっただけだ。
喉元まで出かかった言葉を飲み込む。今さらそんな言い訳をしても仕方がない。
そう思ったけれど、大翔は先ほどまでの甘やかな表情はなく、こわばった顔つきで美咲の返事を待っている。
彼の様子を目にして、美咲はたまらず口を開いた。



