そう告げると、大翔は食い入るようにこちらを見つめてくる。その眼差しに負けないよう、美咲もまた彼を見つめ返した。
「そろそろお兄ちゃんにも、自分だけの幸せを追いかけてほしいんです。本当は私がこのまま結婚して、ちゃんと幸せになっていればよかったんですけど」
余計に心配させかねない事態になってしまい、美咲は苦笑しながら肩を竦めた。
信頼関係を崩されたのだから、もう悠輔と結婚する未来は描けない。彼に裏切られたのは辛いし悲しかったけれど、現実として受け止められた。
それに大翔と再会し、過去の記憶を思い返した今、美咲にも非があったのではないかと感じている。
結婚を見据えていたのだから美咲なりに彼を好ましく思っていたし、大人の男女の付き合いをしていた。
けれど、過去に大翔に向けていた恋愛感情とは種類がまったく異なっている。悠輔はそれを不満に思っていたのかもしれない。
(浮気現場に遭遇した翌日に、こうやって冷静に分析しているなんて薄情かな)
けれど、ぽつんとひとりぼっちになってしまったような心細さを感じるほどショックを受けたのは事実だ。悲嘆に暮れずに済んでいるのは、思いきり泣かせてくれた大翔のおかげかもしれない。



