「このブランドの食器が好きで、いつか揃えてみたいって憧れているんです。シンプルだけど、お皿が増えていくごとに食卓がカラフルになるのが可愛くて素敵だなって」
洋食器は用途ごとに適したサイズや種類がある。例えばメインディッシュを盛り付けるディナープレートと、パスタを盛り付けるパスタプレートは大きさも深さも少し違っている。
サラダ用やパン用、デザート用など、レストランではそれぞれきちんと大きさや深さの違う皿で提供されるけれど、家庭でそこまでこだわっている人は少ないだろう。美咲もカランドで働くまでは知らなかった。
フィンランドのブランドであるこの食器は、どんな料理にも自然と馴染むカラーとデザインで、バリエーションも豊富にある。値段はかなり張るけれど良質で、シンプルなシルエットは飽きがこなくて長く大切に使えるものだ。
美咲は手前にある淡いピンク色のディナープレートを手にとり、早くに亡くなった母を思い出した。
美咲の母は料理や季節に合わせた器を使いたい女性だったため、実家には様々な食器があった。そんな環境で育ったため、自分が結婚したらどんなお皿を揃えようかと考えたことがある。
実際、悠輔とふたりで暮らし始める時も、食器をひと通り揃えないかと提案してみた。
けれど『今あるものでいいんじゃない? まだ使えるのに買い直すのはもったいないし』と言われ、その話は終わってしまった。



