まだ瞳を閉じたままの美咲の手が、いつものように枕元に置いてあるはずのスマホを探してぱたぱたと動く。
目覚まし代わりにしているスマホのアラームが鳴っていないということは、まだ夜明け前だろうか。けれど重苦しい眠さはなく、なんとなく頭がスッキリしている。
なかなか目的のものが見つけられず、寝返りを打ちながらゆっくりと目をあけた。常夜灯はついているものの、辺りは薄暗い。
(あれ、シーツの色が……)
暗がりの中で視界に飛び込んできたのは、普段眠っているオフホワイトのシーツではなく、極上の肌触りが心地いい紺色のシーツ。
昨夜の記憶が一気に蘇り、美咲は跳ねるように飛び起きた。
(そうだ! 私、悠輔の浮気現場に遭遇して、なぜか成り行きで大翔さんの部屋に……)
白い壁、大きなキングサイズのベッド、カーテンはベッドと同じ紺色で統一されていて、遮光がしっかりしているのか外の明かりは全く入ってこない。
サイドテーブルには飛行機の写真が表紙の雑誌と文庫本が一冊置かれているが、それ以外にはなにもないシンプルな部屋だった。



