退勤してすぐに大翔に電話をすると、五分だけでもいいから会いたいと初めてわがままを言った。
彼女が嘘をついている可能性だってある。佐奈の言葉が本当なのか、どうしても確かめたかった。
(私にはなにも言わないのに、あの人には弱音を吐いているなんて。そんなの、どっちが恋人かわからない)
降りしきる雨の中やってきた大翔は、頬が赤らみ、瞳が薄っすら潤んでいた。
『……体調が、悪いんですか?』
『え? あぁ、いや、大丈夫。それよりも、どうした?』
(やっぱり、私にはなにも言ってくれないんだ……)
美咲はきゅっと唇を噛むと、『別れてください』と頭を下げたのだった。
* * *
気持ちよく微睡んでいた意識が、ふっと現実に浮上する。
(ん、今何時……?)



