「美咲の『大丈夫』は信用できないと八年前に学んだ。なにより、そんな状態の君をひとりにしたくない」
もがいていた身体がぴたりと止まる。
ひとりぼっちだと孤独を感じていた今夜の美咲に、『ひとりにしたくない』という彼の言葉はてきめんに効いた。
欲していた言葉と体温が冷えた心と身体に沁み込み、ずっと我慢していた涙がじわりと滲む。
「泣きたいなら、泣いていいよ」
「……泣きたくないので、優しくしないでください」
「無理だな。目の前で傷ついている美咲に優しくしないなんて」
小さく笑った大翔が、子供にするようにゆっくりと頭を撫でる。ダメだといくら自戒しても、その温かさに涙腺が決壊してぽろぽろと熱い雫が溢れだす。
背中に触れる大きな手も心地よく、美咲は目の前の彼のシャツをぎゅっと握った。
「泣きたくないって、言ったのにっ……」
「いいから。責任は取る」
優しく撫でる温かい手に促されるまま、美咲は泣いた。
顔を埋めているせいで、大翔のシャツが涙で濡れていく。それに構わず、先程見た嫌な光景を涙で流すように泣きじゃくった。



