艶のある黒いリボンをほどき、革製の箱を両サイドに開ける。
そこにはフランス革命よりも昔に創業されたパリ屈指のジュエラーが誇る、眩いばかりの輝きを放つ指輪が鎮座していた。
「これ……」
「受け取ってくれる?」
細身で緩やかなV字のアーム、トップには大きく美しいダイヤモンド。世界中の王侯貴族を魅了する繊細なデザインと、貫禄すら感じるきらめきを放つ指輪を前に、美咲は息を止めて見入った。
(もしかして……)
これはエンゲージリングだろうか。期待が身体中を駆け巡り、小箱を持つ手が震える。
「美咲、結婚してほしい」
指輪から視線を上げると、大翔から熱っぽい眼差しが向けられていた。
以前、いつかきちんとプロポーズすると予告されてから、まだ一ヶ月ほどしか経っていない。美咲は隣に座る大翔を呆然と見つめる。



