「心配しなくても、美咲が思っているような相手はいない。だから変な気は回さなくていい」
タオル越しに美咲を包む手の優しさと相まって、鼓動が大きく跳ねた。昔から大翔の瞳に見つめられるだけで、否応なくドキドキする。
吸い込まれそうなほど黒く力強い眼差しは、心の奥底の本音まで見透かしそうな不思議な魅力があった。
このまま彼のそばにいてはいけないと、本能が警鐘を鳴らしている。
「あの、でも本当にそろそろ行かなくちゃ。今日は金曜日だし、早く泊まる場所を探さないと空きが――」
「泊まる場所?」
「あっ……」
早口で捲し立て、動揺から失言したと気付いた時にはもう遅かった。
大翔の表情が一気に険しくなる。
「どういう意味? 篤志から……美咲は結婚を考えている相手と同棲してると聞いたけど。それがどうして泊まる場所を探してるんだ」
「それは……」
「なにがあった?」



