「風も弱いし、ランディングギアも出てる。問題ないはずだ」
着陸態勢に入った飛行機を見ながら、励ますように伝えてくれる篤志の声も心なしか緊張で硬くなっている。
美咲や篤志、デッキにいる人々の祈るような視線を浴びながら、機体は滑走路に降り立った。
接地した瞬間がわからないほど滑らかに着陸し、多少左右に揺れながらも徐々に減速していく。やがて飛行機は完全に停止した。
「無事、なんだよね……?」
「あぁ。あとは降機だけだ」
エンジンから黒煙が出たままのため、飛行機はビルから離れた場所で停止している。ボーディングブリッジとは繋がず、飛行機から降りてきた乗客は待機していたバスで順番に運ぶようだ。
(大翔さんは……?)
すべての乗客が降機したあと、十数名のCA、そして三名のパイロットが降りてくるのがデッキからもよく見えた。その様子を見守っていた人たちから、自然と大きな拍手と歓声が沸き起こる。
「もう大丈夫だ。力を抜け」
ぽんと背中をたたかれて初めて全身に異常なほどの力が入っていたのだと気付いた。



