バサッと頭からバスタオルで包まれ、水気を吸わせるように大きな手がぽんぽんと美咲の頭や肩をたたいていく。
その優しい手つきに、すべてを預けてしまいたくなる。
(ダメダメ。心が弱ってる時こそしっかりしなきゃ)
自立した女性になりたいとずっと努力してきた。それなのに、拠り所を見つけたとばかりに甘ったれた自分が顔を出そうとしている。結婚相手として信頼していた悠輔の裏切りに、自分で感じている以上にダメージを負ったらしい。
だからといって目の前の彼に迷惑をかけられない。
これだけ素敵な男性なのだから、周りの女性が放っておくはずがない。きっと恋人がいるだろう。
今こうしている間にも、その彼女がここにやって来るかもしれない。
美咲に疚しいところはなくても不快に感じるだろうし、そんなことになれば自己嫌悪と罪悪感で押し潰されてしまう。
「あの、大翔さん。やっぱり私お暇します。いくら兄の友人とはいえ、こんな時間にお部屋に入ったら彼女さんに失礼ですし」
「……彼女?」
「なので帰ります。タオルありがとうございました」
「待って。こんな雨の中、傘を忘れてくるくらいのことがあったんだろ?」
頭から被ったバスタオルを取ろうと手を伸ばした美咲に、大翔は真っすぐな眼差しを向けてくる。



