『私は大翔さんを信じています。だから、大翔さんも私を信じてください。もう些細なことで不安になるような子供じゃないし、唐突に別れを切り出すなんて絶対にしません』
そう強く言い切る彼女の言葉を聞き、下心の見えない純粋な食事の誘いならば無下に断る必要はないと考えを改めたのだ。
「仕事仲間相手に、不必要に壁を作るのをやめようと思っただけです。もちろんトラブルは避けたいので、必要に応じて自衛はするつもりですが」
「なるほど。恐ろしいほどにモテるからね、各務くんは」
筒井が感嘆して呟くのに穏やかに頷きながら、長嶋はにこりと笑った。
「しかし、いいと思いますよ。この仕事は僕たちパイロットだけでは成り立たない。一緒に乗務しているCAや安全を守ってくれる整備士、地上で指示をくれるディスパッチャ―や管制官、他にも様々な人たちの働きのおかげでようやく一機の飛行機が飛べるんです。彼らとの交流は、各務くんをさらに高みへと押し上げてくれるはずです」
「はい」
「各務さんが煩わしい思いをしないよう、私も目を光らせておきます」
「ありがとうございます」
美咲を不安にさせるような真似は決してしない。
けれど彼女が応援してくれるのなら、貪欲に自己を高め、長嶋のようなサクラ航空を担うパイロットになる努力を惜しまない。
大翔は改めてそう決意したのだった。



