(もしかしたら……)
逸る気持ちを抑えて寝室へ向かい、ベッドの上に視線を移した大翔はがっくりと項垂れる。そこには大翔のパジャマを胸に抱いてうたた寝する美咲の姿があった。
「……ったく。可愛すぎるだろ」
大翔はそこでようやくジャケットを脱ぐと、ベッドの端に腰掛けて美咲の髪を撫でる。
以前付き合っていた頃、背中まである長い髪を指で梳くのが好きだった。艶やかな黒髪なのは変わらないが、今は肩につく程度の長さで、ひとつに結んでいることが多い。
美咲は佐奈の悪意に満ちた言葉を信じてしまい、長かった髪をバッサリ切った。それ以来伸ばすことはなくなったという。
「長かろうと短かろうと、こうして触れたいと思ったのは美咲しかいない」
愛しげに何度も撫でていると、美咲のまぶたがゆっくりと持ち上がる。
「起きた?」
「……ひろと、さん? あっ」
彼女はガバッと飛び起き、現状を認識するやいなや恥ずかしそうに持っていたパジャマに顔を埋めた。



