「あんな平凡で子供っぽい子のどこがいいのよ! 顔もスタイルも学歴も、なにもかも私の方が上じゃない! 当時のあなただって、あの子が子供だと思ってたから訓練前に見切りをつけて別れたんでしょう?」
「顔もスタイルも性格も、なにもかも俺にとっては世界中の誰よりも可愛いし比べるまでもない。それに、見切りをつけられたのは俺の方だ。悪意ある嘘を吹き込まれて、不安になっているのに気付いてやれなかった。それは俺の落ち度だし、今さら八年も前のことを謝れとは言わない」
ヒステリックに甲高い声で騒ぐ佐奈とは対称的に、大翔は凄みのある低音で淡々と告げた。
「その代わり、男漁りがしたいなら別のところでしてくれ。今後二度と俺の前に姿を見せるな。復縁なんて以ての外だし、声をかけられるのすら不愉快だ」
「な、な……っ」
怒りと羞恥で小刻みに震え、それ以上なにも言えなくなった佐奈に目もくれないまま、大翔は周囲に対し「騒がせて申し訳ない」と頭を下げた。
それからちらりと篤志に視線を向けると、彼は笑って「及第点だな」と口の端を上げる。
「……厳しすぎないか?」
「可愛い大事な妹を任せるんだ。当然だろ」
「シスコンも大概にして、早く本当に同棲する相手でも探したらどうだ?」
「余計な世話だ」
軽口をたたき合い、大翔は友人たちに「悪い、今日はこれで帰るよ」と告げる。これまでの騒動を呆然と見ていた彼らも大翔の発言から色々と察したらしく、困惑しつつも見送ってくれた。



